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災害調査

 大津波から2年後のタイを訪ねて     丸山 喜久, 山崎 文雄, Tuong T.Vu (千葉大学工学部)  


1.はじめに  

 2004年12月26日,現地時間7:58にスマトラ島沖を震源とする巨大地震が発生した.この地震に伴って発生した津波によって,震源に近いスマトラ島北部のBanda Acehをはじめインド洋沿岸のインド,スリランカ,タイ,マレーシア,東アフリカなどで甚大な被害が生じた.
 
 タイ南部では,地震発生2時間後に高さ10mの津波が押し寄せパンガー県,プーケット県,クラビ県などのリゾート地や漁村が甚大な被害をうけた.著者らは,この地域の復興状況を調査する目的で,スマトラ島沖地震から約2年後の2006年12月22日〜26日にかけてタイ南部の津波被災地域を訪れた.今後は,これらの現地調査結果をground truthデータとして,人工衛星画像を用いた復興過程の把握などを行う予定である.


2.調査対象地域と現地写真の比較から見る復興の様子 

 今回の調査範囲を図-1に示す.主な調査地域は,タイ南部のパンガー(Phang-Nga)県のカオラック(Khao Lak)周辺,Ban Nam Khen やBan Bang Sak(図-2),プーケット(Phuket)島内のKamala, Patong, Karon, Kata などの西岸のビーチ(図-3)である.なお,これらの地域は津波発生直後の2005年1月,2月および2005年8月にも調査に訪れている.

 過去3回の調査および今回の調査では,GPS情報付きの写真を撮影しており撮影場所の詳細かつ正確な比較が可能である.図-4に,全4回の調査での撮影場所の比較を示す.図は,Khao Lak北部の地域である.このように,撮影位置を比較的容易に特定できるため全4回の調査時の写真を比較することで,定点観測的に被災地の時間変化を把握することができる.  

 図-5は,Baan Khao Lak Resort周辺の現地写真である.2005年1月,8月の写真と2006年12月の写真を比べると,ホテルのプールサイドバーの屋根の補修が進んでおり,またビーチの清掃も済んでいるように見えるが営業の再開はなされていなかった.

 図-6に,Ban Nam Khenで撮影した現地写真を比較する.津波による被害を受けた箇所で2005年8月には軍の車両が整地している様子が見られ,2006年12月に訪れたときには津波記念公園が完成していた.図-7に,Kamalaで撮影された現地写真を比較する.海側の地域で被害が大きかった箇所であるが,復興がすすみここでも津波を記念したモニュメントが建てられていた.

3.津波・防災標識とピロティ式の学校建築 

 今回訪れた津波の被災地域では,図-8に示すような津波・防災標識や避難ルートを示した看板が数多く設置されていた.また,新設された学校建築物は津波避難ビルとして機能できるように,ピロティ形式が用いられていた(図-9)



図-1 タイ南部の復興調査範囲   


図-2 パンガー(Phang-Nga)県の調査範囲(UNOSAT提供の地図に加筆)


図-3 プーケット(Phuket)島の調査範囲(UNOSAT提供の地図に加筆)



図-4 Khao Lak北部での調査位置の比較
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2005 Aug 2006 Dec

図-5 Baan Khao Lak Resort周辺の現地写真の比較

2005 Jan 2005 Aug 2006 Dec
2005Jan 2005 Aug 2006 Dec


図-6  Ban Nam Khenで撮影された現地写真の比較

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図-7 Kamalaで撮影された現地写真の比較

2005 Jan 2005 Feb 2006 Dec
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図-8 タイの津波・防災標識



図-9ピロティ形式の学校建築